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術後十一日目 [闘病記]

昨夜は、22時に就寝。一時間おきに目が覚め3時に完全覚醒。仕方ないかな。もともと、睡眠時間は6時間程度で十分なタイプだったし。
朝、ベッド上便秘体操。その後洗面、身繕いタイム、30分かけての朝食。自己トイレ誘導で、本日もスムーズに排便。連続4日目。やった〜!
傷口のテープも、医師が全部外してくれ、湯船に浸かる許可も出た。全然、大丈夫って反応だったし、もっと早く聞いていれば良かったのかも?
16日に湯船に浸かったきりなので、二週間ぶり。思う存分、長風呂させてもらった。気持ちいい。入浴後、体重測定。入院日と比べて5キロ減量。退院してリバウンドしないよう、気をつけなきゃ。
メールチェックして、気になる医療ネタをTwitterに呟く。自分の経過や、食事の写真も呟く。ブログのアップも呟く。これが、1日分まとまってEvernoteに保管される。なかなか、便利。

知り合いの呟き「楽観主義者はドーナッツを見るが、悲観主義者はドーナッツの穴を見る。僕は両方を見ながらその風情を楽しみ、ドーナツをモサモサ食べて、おいしいコーヒーを味わう卓越主義者になりたい。」
ドーナツのどこを見て判断すべきか。またまた、インフォームドコンセントがあった。今回は、担当医からではなく、化学療法センターの医者による説明。今後の化学療法について、全く何もしないことも含め、全部で6種の選択肢。私のステージだと、5年生存率は60%。ドーナツの食べる部分が60%、穴が40%となる。術後補助療法を行えば、穴は小さくなる。10%小さくする方法と、15%小さくする方法。出来れば、穴は小さい方がいい。でも、わずか5%小さくするために、薬の副作用が増え生活に支障をきたすことを覚悟しなくてはならない。もともと、60%のドーナツがあるのだ。穴の大小にこだわり、せっかくのドーナツの美味しさを味わえないのでは、元も子もない。穴があるからこそ、ドーナツ。ピロシキじゃないんだし。10%小さくする方法で、手を打つことにしよう。これでドーナツは70%。うん。充分!因みに、手術前の説明で、私がストーマ無しで腸を吻合できる可能性は60%と言われていた。そして、その60%に入り順調に回復中。統計はあくまでも過去の他人のデータ。今後の私を予測する数値というだけ。捕らわれて縮こまってはいけない。

化学療法センターの医師説明後、二人の看護師が、どんな内容だった?辛いことは、言われなかったか?今の気持ちはどうか?相談に乗ることはないか?と、次々に来た。これって、ルーチン業務?それとも、ナーバスで不眠症状まで出てる私のための看護介入?二人の行動に対して不快感はないが、ふとそんな疑問を感じた。この私の疑問、彼女達に筒抜けだったらきっとやりづらいと思う。なので、素直に今の気持ち「薬は、私の専門分野だからこそ、人任せにするのではなく、納得いくまで調べて返事をしたいと思う」と伝えた。
やりづらいと言えば、今日の化学療法センターの医師も、途中とてもやりづらそうな顔をしていて、ちょっと気の毒だった。私が薬剤師であることを、全く知らず懇切丁寧にゆっくりと化学療法のメリットとデメリットを説明。あまりにもゆっくりすぎるので、巻きを入れたくなり、途中、私からわざと専門用語で質問するも、まだ気付かない。同席していたズブの素人の従姉妹には、わかりやすかったと好評だったが、もう1人の同席者、乳ガン、肺ガンを患い何種類かの抗がん剤と、その副作用を実体験で知り尽くしている叔母は、まだまだ若そうな医者だしあんなものよといった反応。「今、この場で結論を出さなくてはならないのか?私は薬剤師で自分でも今の話を聞いた上で、色々調べたいし、化学療法を専門にしている薬剤師の親友とも相談して、決定したい」と医師に言った時、そしてその直後、叔母が「私は、イレッサを服用する時に、私に効果があるかどうか先に検査したが、この子の薬にもそんな検査があればいいのだけど」と質問した時の医師の唖然とした表情。その後、彼はやっとシフトレバーを動かし、ギアチェンジ。先ほどよりはやや早口に、そして薬剤師なら通じる専門用語を交えながら、説明するようになった。最後に私から、解りやすい説明をありがとうございましたと、お礼を言うと「いや、薬剤師さんに対してちょっと失礼だったかも」と恐縮していた。
またまた、「インフォームドコンセントの手引き」の話題になるが、説明に時間をかけ過ぎ。患者の理解度を確認しながら、説明していれば、例え私の職業を知らなかったとしても、もう少しスピードアップとレベルアップが出来ていたはず。高学年の小学生に、一桁の足し算を時間をかけて教えているのと同じ。スピードアップして、患者の状況やライフスタイルを聞き出すことに時間を割くべきなのに、今日の医師には全くそれがなかった。途中、「手足の痺れや重度の肌荒れにより仕事に支障をきたすかもしれません、あなたの職業は僕は知りませんが」というくだりまであった。あの場で、「知りませんが」ではなく、どういった職業ですか?と聞くのが本当のインフォームドコンセントなのに。この医師に対して、怒りも不満も抱いていない。ただ、彼が私の指導下にあれば、確実にお説教もの。「相手の理解度を確認しながら、それに適した説明内容をするように。理解が乏しければ、どこから解らなくなったのかを探り、その箇所に戻る、理解出来ているようなら、ある程度手短にすることもできる。わかった?」

センターから病棟に戻り、担当医に、検討したいので返事を先延ばしにしてきた、結論が出たら担当医に言うように言われたことを伝える。「あ、そう。だったらもう一回化学療法センター受診の予約を入れる必要があるということか、わかりました」ありゃりゃ、そういうことになるんだ。また、人と違うことをして、迷惑かけちゃったかも。

その後、共通の趣味で知り合った友人が、関東や、中部地方のお仲間からのお見舞いを預かり持ってきてくれた。食べられるようになったらとリクエストしていたドエルのシュークリームと共に。どうして、皆さんこのように良くしてくださるんだろう、と今更ながら自分が幸せ者であることを実感。
せっかく楽しい話題で盛り上がっていたのに、下肢エコー検査に呼ばれた。この検査技師さんは、検査終了際に私に手術後の話とかを気さくに質問してくれ、親近感が持てた。私の硬膜外麻酔のチューブが切れた話をしたら「ええ〜〜!!」とびっくり。そうよね、チューブの入ってる場所が場所だしね。その反応は正解だと私も思う。すぐにチューブ抜いてもらったと話すと、麻酔なくなって痛かったでしょう?と心配してくれた。彼女のリアクションってなんとなく、私と似ている。
部屋に戻ると、さらに別のお見舞い客が、出来立てのたこ焼きを持ってきてくれた。何か欲しいものは?と以前に聞かれ、とても忙しい人とわかっていたので、わざと無理難題の「出来立てのお好み焼きかたこ焼き。だから、入院中じゃなく退院してから、一緒に食べましょう」と答えた。それなのに、わざわざ美味しいと評判のお店にタクシーで買いに行き、保温状態に包装して持ってきてくださった。たこ焼きも温かかったが、その方の情がさらに温かかった。
77歳。大先輩薬剤師。私の病気を知った時、「出来ることなら、変わってあげたい」と泣いて電話をくれた方。


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