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術後十四日目 [闘病記]

いつもの、排便コントロールルーチンを実施。今日は少量便。ても満足。
夜のうちに、又従姉妹に婦人科受診の件をメールしていたので、朝一番に電話をくれた。「絶対、大丈夫。もし何かあったとしても、絶対大丈夫だから。私たち夫婦2人で、今回の流れを考え大丈夫という予測がたっている。大丈夫な理由を、今日旦那と話しに行くから、安心して受診してきて」そう、彼女と話していると、本当に大丈夫と思えて勇気が出てくる。助かる〜。
婦人科から、受診の連絡。結局は、先週行った細胞診の結果、疑陽性だったので、内視鏡を今度受けて下さいと言われるだけだった。なる程ね。疑陽性と出たからには、病院側としても放置はできない。もし何かあったとしても、PETには映らない小さなもの。この際、きっちりみてもらっておこう。内視鏡検査は3週間先。その間、免疫力高めて小さな悪者を消してやる。検査のために一泊入院が必要。その手続きに中央受付に行く。そのついでに、ガン支援センターにより、患者向けのパンフレットを何冊か貰う。癌と診断を受けたあなたに心がけて欲しいこととして、〜情報を集めましょう。「知識は力なり」。正しい知識はあなたの考えをまとめるときに役に立ちます。情報不足は不安と悲観的な想像を生み出すばかりです。〜 まったくその通り。過去の私を反省し、今後は正しい情報をしっかり収集していこう。
その後、病院内コンビニで水を買い、同じく病院内のタリーズにて期間限定のサクララテを買う。甘味と、桜の香りが、私の張り詰めた緊張感を和らげてくれ、心地よい昼寝ができた。
夕方、隣の部屋から、子ども達の号泣する声が聞こえる。「おばあちゃん、おばあちゃん」
昼過ぎに、ベッドが隣の部屋に入り、家族がたくさん来ていた。「聞こえる?頑張りや〜」という声だったり、時には笑い声まで聞こえていたので、手術直後の励ましかと思っていたが、最後の看取りのための個室移動だったみたい。たくさんの孫たちに、こんなに悲しんでもらえるおばあちゃん。ある意味、幸せ者だと思う。
いつまで、病室での別れの時間を過ごさせてあげるのかな?泣き声がして、かれこれ30分。
私の母もこの病院で息を引き取った。もう、11年経った。夜中の3時。従姉妹は声をあげて泣いていたが、私は「今までありがとうね」とだけ言って、泣き声はあげなかった。自宅に戻り、親戚達が葬儀の準備でそれぞれの自宅に帰り、私と母だけになった瞬間、号泣した。嗚咽が止まらなく、ずっと泣き続けた。あれ以来、号泣してないなぁ。
50分経過。隣の部屋から泣き声が聞こえなくなった。デイルームにお湯を汲みにいくと、泣き疲れた中学生、小学生の女の子が3人。大人達は、葬儀の相談をしていた。看護士さんが、エンゼルセットと思われるものを持って、隣の部屋に入っていった。結局、葬儀社のお迎えらしいストレッチャーが来たのが19時。霊安室ではなく、病室でゆっくりお別れさせてもらえたよう。かなり、良心的。

その後、二組のお見舞い客。
去年のクリスマスに結婚式をあげた高校生の時からの親友が(彼女は常連見舞い客),久しぶりに会う友人を連れて来た。昨年エコー検診で乳癌が見つかり、手術。結婚式にも行きたかったが、乳房再建手術と重なり断念。今回、私の病気を知り、親友と駆けつけてくれた。お互いの闘病の話をしながら、子どもだった私たちも、そんな年齢になったんやねと、納得。その後は、親友の披露宴の写真を見ながら、盛り上がる。入院中であることを、まったく忘れるひとときだった。
最後は、又従姉妹夫妻。婦人科の結果確認と、私の不安感を察して、直接会いに来てくれたのだ。夫婦揃って癌を根治させるために、全国にいろんな医者を尋ねて周り(時には、怪しげな医師に騙されかけたことも!)、いろんなことにトライし、最終的にたどり着いた考えと方法を、私に教えてくれる。乱れた生活習慣で作った病気。癌体質を変えるには、生活の見直ししかない。特に腸をきれいに保てば、免疫力が高まり、すべての臓器に潜んでいるかもしれない癌細胞が、芽生えることを阻止できる。まずは、食べ物に気をつける。一生の継続は無理だが、短期集中ならできる。
母の死後11年間、夕食はほとんど外食か、スーパーの惣菜やコンビニ弁当で済ませてきていた。寝る時間は日付が変わってから。確かに、身体に悪いことを日常的に継続してきた。あと、数日で退院。来月には、職場復帰して通常の生活に戻る予定。でも、今までの悪しき生活には戻らないよう、気を引き締めた。
最後に又従姉妹夫妻が、こんな風に、闘病生活のベテランになっても、いまだに検査結果を聞くのは怖いと打ち明けた。採血のようなちょっとした検査であっても。毎回毎回、夫婦で待合室で小さくなってドキドキしながら座っている。これは、もう仕方のないことと、諦めているそうだ。

患者同士だから通じる感覚。患者家族同士だから、相談できる話。精神科医療でも、患者や家族のための心理社会的療法の必要性と有用性が盛んに話題に上るようになった。医療者の医療行為だけでは到達できない患者の潜在的な部分。そこに踏み込めるのは「同病相憐れむ」という言葉通り、同病者だけなのかも。しかし、その同病者同士の考えが、場合によっては、間違った方向に進むこともある。ならば、我々医療者は、同病者同士が接点を持ちながら、正しい情報を知る機会を準備する必要がある。心理教育の必要性を、もっと訴え院内に浸透させていきたいな。
あ、また自分の仕事のことを考えてしまった。根っからの仕事人間。

病室でも、雛飾りを楽しめているのは、皆さんの温かい気配りのお陰。

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